がんばれコンサルタント！ 第112話：コンサルティング現場で成果を出せる人、出せない人

第112話：コンサルティングの現場で成果を出せる人、出せない人の差

 

　「コンサルタントとして、成果を上げる指導を行うための注意点はありますか？」──　先般、初めてのクライアント先にて奮闘中の、この春起業のコンサルタントの方からいただいたご質問です。

　コンサルティングの現場、実務指導の現場でのポイントは当然ながら多岐にわたりますので、「ここが一番のポイント」とは申し上げにくいことです。

　しかし、これから大いに活躍していただくコンサルタントの方のために、あえて一つポイントをあげるとして、それは、「相手が本当の意味で理解できるように話すこと」…とお伝えしました。

　人に説明をしたり、指導したりするとき、「相手が理解する」ために話をするのが当然だからです。これはコンサルタントに限らず、すべての先生業において言えることで、基本中の基本と言えます。

　「そんなこと当たり前でしょう！ だから色々な例を出して説明して…」といったお声が聞こえてきそうですが、問題は、「本当に相手が理解しているかどうか、教えている側がわかっているか」ということです。

　「分かりましたか？」と聞いて、「分かった」という答えが返ってきたから「相手は理解しているから大丈夫」と考えるなら、先生業ほど楽な仕事はありません。特にコンサルタントなら、まずやっていくことは不可能です。

　理由は簡単です。コンサルタントの説明とは、「クライアント先が実際に行動して成果を出せるかどうか…」、これを実現するために行われるものだからです。

　説明をして「分かった」と言っても実務的に動けなければ何も意味をなしません。「理解」と「行動」そして「成果」までが一筋の流れになっていてこそ、はじめて「コンサルタントとしての説明」ができているということなのです。

　言葉は悪いですが、「単なる説明」だけでいいなら、聞き取りやすいナレーターの声で録音したCDや、演出に工夫をこらした動画を使った方がよほど効果的です。事実、一般的な学習モノには、「動画で学ぶ」といったスタイルが非常に多くみられます。要するに、単に知識ベースを一方的に伝えるなら、機械で十分…ということです。

　これらの伝え方の場合、「本当にこちらが考えているレベルで理解してもらっているか」ということが抜け落ちている点も、大きな問題です。一方的に話をして説明をしているだけだからです。

　結果責任を伴わない、集合研修やセミナーなどの場合も似たことが言えます。「行動・成果」を基本的に求められないからです。

　このため、講演ばかりしてきた人が、コンサルティング依頼を受けてクライアント先で説明をしても、全然成果がでない…ということがよくあります。

　大きな理由として「説明のための説明」をしていることが多く、実際の行動や活動を起点とした説明がなされていない、ということがあげられます。

　言ってしまえば、どこかからもらってきた理論や手法、横文字系のマーケティング理論や頂き物のノウハウ…などを、「セツメイ」しているために、クライアント先は「理屈は分かっているけど…」ということになっている訳です。

 　繰り返し申し上げますが、コンサルタントの説明とは、クライアント先が実際に行動して成果をあげるために行われなければ、まったく意味がありません。

　このことを真剣に考えるとき、コンサルタントの説明とは、「徹底的に自ら考え抜いた言葉を使わなければならない」ということに行き着きます。

　借り物の言葉では単なる解説や、一方的な説明による誤魔化しはできても、行動と成果を導き出すために手を替え品をかえて徹底的に説明することは不可能だからです。

　伝えるべき内容を自らが完全に理解していて、相手の状態やレベルに応じて分かりやすい言葉で話せなければ、具体的に動き、成果を出してもららうことなど到底、不可能です。

　優れたコンサルタントは、みな必ず「自分の言葉」を持つのは、自らのコンサルティングをしっかり体系化し、あらゆる角度から説明ができるように徹底的に考え抜いているからこそ…なのです。

　あなたは、自分独自の言葉を用意できていますか？