がんばれコンサルタント！ 第613号：コンサルタントが必ず備えるべき、成長への挑戦と危険回避への観点

「ゴトウさん、いま考えていることがあるんですが相談いいですか？」── 当社に長らく定期的に足を運んでいただいている、親しいコンサルタント仲間の方からのお言葉です。

なんでも、ちょっと新しいことを思いついたとのことで、一人で考えているよりはお酒が入って気楽な状態のほうがアイデアも出やすいかも…と、変則的なご相談スタイルをご希望に。

ちなみにご商売は、依然と比べれば異次元とも言えるほど大きく成長されている方ですが、それでも常に挑戦を続ける姿勢に、こちらも思わず頭が下がる思い…という方。

真面目な会話をしながらも、ちょいと一杯入りながら…の場合、自由なアイデアや発想がでやすいという利点があるのは言うまでもありませんが、他にも大きな利点があることが意外と見逃されがちです。

それは、理屈ではなくほぼ直感的に「おかしいと思う所に気づける…」という点です。会社の一室で真面目な議論を何度も重ねたのに、「なんでこんな落とし穴に気づかなかったの？」…みたいな話があるのは、理論理屈だけで考えていたときの典型パターンです。

何も、ビジネスは酔っぱらって考えるべき…などと言うつもりは毛頭ありませんし、ある程度酔ってしまうと確実に思考力は下がってしまうことは間違いありません。ですので、仮にお酒がちょっと入った状態で…という利点が使えるのも、ほんの僅かな時間だけと思ったほうが賢明でしょう。

そうしたことは大前提だとして、何を申し上げたいのかと言えば、「大きな方向性の決定」には、目の前の処理に適した理論理屈だけで考えていては見誤る恐れがある…ということです。

測れば長さは１０３センチだとか、角度は３１度だから合ってる…としても、それを１００回や１０００回繰り返すような遠い先の未来を同じ方式で測ろうとすれば、大きなズレが生じてしまうのが当たり前だからです。

物事には、それに適した考え方や道具を使う…というのが、上手くやっていくための鉄則です。見えないモノ、見えない先を考える必要性があるとき、手元の処理に適した道具では「難しいというよりは不可能」なのが現実です。

未来や見えない不確実性に対する判断には、日常使うものではない判断や道具が必要なのです。それこそが、「直感や他者の叡智」なのです。そして、特に危険回避には、直感は驚くべき力を発揮するケースが非常に多いのが特徴です。

トンネルの先に何かある…。理屈的にはこのまま同じ道のハズですが、「何かヤバい、おかしい」というピンとくる感覚は、ある種の動物的感覚とも言えるかもしれませんが、優れた経営者ならびにコンサルタントが、共通して持っている能力とも言えるでしょう。

優れし者は、好機をつかむ嗅覚が強く、そうしたチャンスをものにして成長していきますが、その成長を続けていくためには当然ですが、危険回避能力もなければ一瞬で転落してしまいかねません。

だからこそ、成功していく人たちは好機をつかんでモノにする挑戦能力と共に、危険回避能力も備えていたりしますが、危険回避の能力については本人でなくても水先案内人、その分野に長けている人、そのビジネスを理解している他者…などでも可能なのが特徴です。

成長策は実行を伴うためビジネスの主体者でなければ不可能ですが、危険回避は耳を傾けて避ける、またはブレーキを踏むだけなので外部機能でも可能だからです。

そう、まさに経営者からみたコンサルタントは、専門分野においてはまさに、見えないものを見て直感的に判断し、危険回避を示唆できる重要な存在とも言えます。ここにコンサルタントの大きな価値があります。

あなた自身が攻めと守りに対して、経営者の頼りになる存在になる必要があります。そして自分自身にも、そうした重要な存在を見つけておく、用意しておくことは極めて重要です。

自分がコンサルタント商売を長く続けて報われる展開をしたいなら、これらは必須ということです。

あなたは自分のビジネスにおける、攻めや守りの仕組みを考えていますか？ 用意していますか？