がんばれコンサルタント！ 第696号：コンサルタントが必ず押さえておくべき「夢を実現するための白黒」の重要性

「ゴトウさん、先日お会いした社長さんにメールしたんですが…」── 目下コンサルタント起業のために、もがきながらがんばっている方から、近況ご報告的にいただいたメールです。

なんでも、お問合せのあった社長さんにコンサルティングのご提案メールを差し上げたそうですが、それまで何度かやり取りがあったにも関わらず、プッツリと音信不通になってしまったとのことでした。営業活動ではよくある話ですが、本人にとっては思い切って送った一通だったのでしょう。

ご本人いわく、「もう、諦めていますので大丈夫です。次に行きます」──とは、さながら気にしていない様子。言葉だけ聞けば前向きな印象を受けますが、果たしてそれでいいのか…。

もちろん、状況に応じた判断が色々あるのも間違いありません。ただ、このときは、「これから独立起業していく」というお立場の方だからこそ、あえて強く申し上げることにしました。いわく、「白黒決着をつけていってください」と。

重要なことは、相手の反応が無かったからといって、「意思を確認した」ということにはならない点です。連絡がない…というのは、単にその事実があるだけです。

ビジネスを何年もやってきて、経験に裏づけられた判断力や余裕がある方なら、「反応が無い」ことに対して自分なりの対策や見切りの基準を持つのはよくわかる話です。「次に行く」という判断も、それはそれで長年の経験から導かれた合理的判断に違いありません。

一方で、これから「プロ」として歩みを始める人に、そのような蓄積された判断基準や心の余裕があるかといえば、話は別です。

もっとハッキリ言えば、「その判断、単なる逃げでしょう」ということです。むしろ、そこを鍛える過程こそがプロへの道のりなのです。

「次にいこう」という言葉は前向きに聞こえますが、それは、「白黒を確認する」という、恐怖を伴う作業からの逃避だったりします。傷つくかもしれない結論を避けようとして、無意識レベルで確認行動を先送りにしてしまうのです。

営業で成果をあげてきた方々なら誰もが知っていることですが、「クロージングを打たなければ、客の意思は確認できない」。受注における最も重要な原理であり、曖昧なままでは、何も始まらないのです。

「確認してください。プロになるのですから」と促した結果どうなったか…。なんと、「スパムメールに入っていたようで、すみません！」と社長さんから返信があり、そこから面談の日程調整に進んだというのです。ほんの一歩の確認で、未来が動いた瞬間です。

世の中、自分の気持ちを大事にしすぎるあまり、自分の夢の第一歩にさえ足を止めてしまう人が少なくありません。

ほんの一通のメールを送ることも、ほんの一言を確認することも怖くて、未来を閉ざしてしまうのです。なんともったいないことでしょうか。

営業でもビジネスでも企画でも挑戦でも…、何でも同じです。前に進むためには、白黒をつけていかなければ何も動きません。そのためには、一歩踏み出して、また一歩踏み出して、結果に向き合う。その繰り返しが、夢を現実にしていく唯一の道です。

やりたいこと、夢だったことをいつまでも先延ばしにして、「やったかどうか」の白黒をつけないままでいると、あっという間に一年が過ぎ、気づけば十年が経ってしまいます。成長とは、確認と決断の積み重ねでしか生まれません。

もうまもなく、今年も終わりを迎えます。
あなたは、この一年、どれだけの「白黒決着」をつけてきましたか？