がんばれコンサルタント！ 第690号：コンサルタントが押さえておくべき、ビジネスにおける「きっかけ」と「覚悟」の方程式

「ゴトウさん、咄嗟におもわず言っちゃったんですよ…」── コンサルタント起業をするために、じっくり時間をかけながら自分独自のメニューづくりをしようと当社にお越しになっている方と、一杯やっていたときに飛び出てきたお言葉です。

なんでも、まだ来年の先に…と考えて進めていたところ、ちょっと実践するために会社にいわゆる「副業申請」を出してみたとのこと。２０年以上勤めている会社ということもあり、後からもめたりするのも嫌ですし、誠実に考えての行動といったところでしょうか。

ところが、真面目に申請したにもかかわらず、返ってきた答えは「ダメ」という一言。そこでおもわず口からとっさに出てしまったというのです。

「じゃあ、辞めます！」──。この瞬間、ご本人も驚いたそうですが、その強い響きに会社側も息を呑んだことは容易に想像できます。

思わず「えっ？！」という感じですが、ご本人いわく、「何かスイッチが入った…」と言われるだけあって、その辞めるという気迫に押されたのか、その後会社側から「やっぱり副業OK」と手のひらを返した返答が来ることに。

世の中不思議なもので、起業のタイミングやビジネスの大きな転換の局面において、何か妙な「きっかけ」が訪れたりします。それは、計画通りの道筋ではなく、予想外の出来事が決断を促す引き金となったりします。

共通するのは、そうした瞬間に「試される出来事」が起こるという点です。副業はダメと言われたら「そうですか」とやめておこう…という人は少なくありません。会社に逆らってクビになったりすれば路頭に迷うかもしれません。そんなリスクを考えれば、やめておくのも賢明な判断に見えます。

さらに、その後に「やっぱりOK」と言われれば、「ラッキー、やめるのやめた！」と思う人もいるでしょう。安全な場所にいながら試せるのですから、都合がいいと考えるのも当然かもしれません。

ただし、それが正解かどうかは、また別の話です。理由は単純です。成功の要因を考えるとき、準備や環境だけでは説明がつかないことが現実には多いからです。

成功している周囲のビジネス仲間や経営者の方々をじっくり見ていると、共通しているのは「事前に準備して、先手を打って、リスクを伴うチャンスを覚悟を持って掴みにいっている」ということです。

ビジネスにおいて、きっかけには「良いきっかけ」もあればそうでないこともあります。取引先に何かが起きたり、大きな災い的なことに巻き込まれたり、突発的なことが起きたり…といった、「見た目は不運や問題ごと」がやってくることもあります。

重要なことは、準備をしっかりした上で、最終的な「覚悟と決断」を下せるかどうか。

小さなチャンスも重要ですが、大きな果実を期待するのは難しい話です。一方で、大きなチャンスは必ずといっていいほど大きなリスクとセットでやってきます。そう、見た目は不幸な問題ごと…のように。

どうなるか判らない、失敗して大変なことになるかもしれない、それでも挑むかどうか…。このとき、覚悟を決めて一歩踏み出すとき、人は不退転の力を発揮することになります。そのときにこそ、大きな果実をつかむ可能性が飛躍的にたかまるのです。

ビジネスの飛躍も同じです。リスクを恐れて「ごっこ」の時間を過ごすのか、覚悟を決めて「本気」で勝負の時間を生きるのか。この選択が、その後の未来を決定的に分けていきます。

あなたは、今年、何を覚悟しましたか？　次なる覚悟を、いつ決めるのでしょうか？