がんばれコンサルタント！ 第678号：「一度独立した人はサラリーマンに戻らない」本当の理由

「ゴトウさん、予定どおり一年間のお勤めを果たして戻ってきました！」── 先日、親しいコンサルタント仲間と集まっていた際に、一年ぶりに笑顔でお越しになられた方の最初のお言葉です。

もちろん、お勤め…と言っても何かヘンなことをしてとか、不本意な理由で再び会社勤めを余儀なくされた…といった類のものではありません。

むしろ、一度コンサルタントとして独立された方が、やむを得ない理由により一年間限定でサラリーマンに戻られていた、という背景です。独立の道を選んだ者の覚悟は、容易には揺るがないものですが、その本当の理由は意外とお勤めの人には理解されていなかったりします。

人生には、予期せぬ波が押し寄せることがあります。特に、家族の健康問題や経済的な責任など、自己の意思だけでは抗し難い大きな理由がある場合、一時的に別の道を選ぶこともあります。しかし、それはあくまで目的達成のための「手段」であり、本質的な「生き方」を変えるものではありません。

一方で、独立や起業の道に一度足を踏み入れた者は、その世界でしか得られない「自由」と「自己責任」の重みを肌で知ります。雇われた立場では決して味わえない、自らの意思で未来を切り拓く感覚は、一度知ってしまえば、もう「戻る」という選択肢さえ忘れさせてしまう力があると言えるでしょう。

重要なことは、「ビジネスの世界に、一度や二度の失敗で諦める経営者など、まずいない」ということです。たとえ会社が窮地に陥り、全てを失うような状況になっても、彼らはそこから学び、再び立ち上がります。それは、自身で事業を創造する「本質的な喜び」を知っているからに他なりません。

サラリーマンの思考回路は「リスクの最小化」を目指すため、「失敗」を極度に恐れます。しかし、経営者は「飛躍」のためにリスクを厭わず、道なき道を切り拓く冒険を選びます。ここに本質的な大きな違いがあります。

それは憧れとも理解とも違います。本当に怖いのは、「いいなぁ～、それ分かる！」とどれだけ分かったようなことを言っていても、そのまま年老いてこの世から消え去るのは、「失敗を避け続けた結果」だからです。

人間は、経験を通じて真の理解を得るものです。一度、自らの手でビジネスを創造し、その苦悩と喜び、そして現実的な成果を経験してしまえば、それ以前の「知識だけの世界」にはもう戻れません。肌で感じた実体験は、何よりも雄弁な教訓となるからです。

大切なことは、自分の人生は、誰もが「自分のもの」と認識しているはずです。しかし、一日24時間のうち、睡眠を除いた活動時間の約７割を他者のために費やしている現実を直視するとき、「真に自分の人生の支配者は誰なのか？」ということです。

自らの時間を自らの意思でコントロールできることこそ、独立の醍醐味とも言えます。独立は、単なる労働からの解放ではありません。自らの時間を投資した「価値」が、正当に「報われる報酬」として返ってくることが、その真価です。

そうでなければ、たとえ自由を手に入れても、労働対価の限界に直面し、事業展開における深い悩みが継続してしまうでしょう。いわゆる「作業に忙殺される仕事」になっている状態です。

この世界に一歩足を踏み入れ、そして危険と隣り合わせの自由を知った者は、その魅力から逃れられません。むしろ一層ハマっていくと言うべきでしょう。

たとえ安定した労働対価を得られるとしても、一日に自分の時間が数時間たらずしか与えられておらず、大半の時間を他者に支配される状況には、もう満足できるハズもなく、自らの生殺与奪権を他者に委ねるという選択など「ありえない」というのが、本当の理由なのです。

あなたは自分の人生を、自分が報われる方向に進めていっていますか？ 
本当のリスクというものを理解して、歩みを進めていっていますか？