がんばれコンサルタント！ 第677号：選挙戦から学ぶ、一匹狼のコンサルタントが取るべき絶対の戦略

「ゴトウさん、いよいよ選挙が始まりますね…」── 親しいコンサルタント仲間と一杯やりながら、楽しく話をしていたときに出てきたお言葉です。もう言うまでもありませんが、７月２０日に投開票される参議院議員選挙の熱戦について…です。

選挙ですから当然、政治がらみ…といいますか政治のど真ん中になりますが、当社はあくまでもコンサルティングビジネス専門のアドバイザリーですので、どこの政党が云々…などと申し上げるつもりは毛頭ありません。あくまで、そこから得られる「ビジネスのヒント」に注目してのことです。

実際、各党の選挙戦の戦い方、もっと言えば、「メッセージ」や「アピールポイント」などを見ていると、我々コンサルタント商売においても、実に参考になる点が多かったりします。

コンサルタントにとって、セミナーや講演は「自分の考えやノウハウをお伝えする場」として非常に重要であり、その「上手下手」はコンサルティング依頼に直結するからです。

ただし、ここで言う「上手下手」とは、話し方や身振り手振りのパフォーマンスなどを言っている訳ではありません。もっと重要な根源的な「戦略」を指しています。

そもそも論として、政党と言っても古くからの大人数で組織的な政党もあれば、これから議席を獲得を目指す新興勢力の、いわばこじんまりとしたごく少人数の政党もあります。こうした立ち位置の違いが、そのまま「戦い方の設計」に直結するのは、選挙もビジネスも同じ構造です。

大きなところと小さなところとでは、「戦い方に違いがある」「戦い方を変えなければならない」…ことは、ビジネス界隈にいる方であれば半ば常識でしょう。むしろ、その戦略の設計こそがプロの見せ所であり、表面だけ真似しても成果にはつながらないという厳しい現実がそこにはあります。

実に当たり前の話をしています。一人でやっている我々のような一匹狼のコンサルタントの場合、いわゆる組織的な戦い方をしている「大手コンサルティングファーム」と同じような戦い方を真似ればどうなるか…ということです。

他のビジネスで考えても同じです。総合家電メーカー、総合建設会社、総合旅行代理店、総合食品問屋…、世の中ににはその業界ごとに巨人がいます。

そこと同じ土俵で戦いにいって勝ち目はあるのか？ 言わずもがなで、人員も資源も異なる状況下で、同じ土俵で戦おうとするのは、戦わずして負ける構造を自ら選ぶようなものです。

選挙の場合、アレもコレも公約に掲げて、そして応援演説も次から次に、チラシもネットも大量に投入できる「大手の戦い方」は、まさに強者が取れる戦法と言えるでしょう。情報量の多さが信頼性につながる構造の中で、あらゆる手段を総動員して認知と信頼を広げていく、まさに強さを活かした総合戦略です。

一方で、少数議席や無所属…というところが、どう戦おうとしているのか…。一つ言えることは、大手と同じ土俵に上がったり同じやり方をすれば「圧倒的に不利」ということです。

小さなベンチャー企業がどう大手企業に立ち向かっていくのか…。そこには必ずと言っていいほど、小さなクサビを打ち込み、「違い」を強調し、「限定性」や「専門性」によって突破口を開いていく姿があります。

ピンポイントの専門性、しかも強いメッセージを「決裁権を持つ人に届ける」ことが、少数人数や一人力でやる場合の戦い方に外なりません。これはまさにビジネスと合致する点です。届ける相手を間違えず、かつ尖った一言で心を掴めるかどうか…この一点突破こそ、小規模事業者の生命線なのです。

ひるがえって、自分のコンサルティングを大手と同じ土俵に持っていっていないか…。総合に持っていっていないか、届けるメッセージが一般論になっていたり、ポイントを絞れずぼやけていないか…。

この問いかけは、選挙を見ながら、自分自身のビジネスモデルを点検する良い機会になると言えるでしょう。

選挙もビジネスもメッセージは重要です。一般性は安心感を生みますが、印象には残りません。まだ見ぬクライアントの心を突き刺して清き一票を獲得するために、あなたのコンサルティングを体系化し、キラーコンテンツとして研ぎ澄ましてください。