がんばれコンサルタント! 第659号:料理上手に見る、プロになれる人とアマチュアで終わる人の違い

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「ゴトウさん、すごい腕があるのに売れる人と売れない人って、何が違うんですか?」── 五藤の東京セミナーにお越しになられた後、コンサルタント起業を目指して目下奮闘中の方から出てきたお言葉です。

なるほど、世の中を見渡してみると、いわゆるプロとして活躍している人たちには、やはり「腕の良さ」というものがあります。少なくとも、5年10年と第一線で活躍している人なら、ほぼ間違いなく、実力があるのは疑いようがないでしょう。

ほんの一時だけの繁盛ならいざしらず、商売して長く生き抜いていくには、プロとしてやっていける技術や知識、経験といった腕の良さが必須だからです。

ただし、「腕が良い」ことと「売れる」こととがイコールかと言えば、そうではありません。たまに、「腕が良ければ仕事は向うからくる!」と言っている人がいますが、これが本当なら、技術のある職人さんは必ず売れるハズです。

しかし、現実をみれば売れていない人は大勢います。となれば、腕の悪い職人さんが多いか、はたまた世の中がおかしいということになりますが、冷静に考えればオカシイことを言っていることに気づくでしょう。

そもそも論として、「腕の良さと仕事が増える」はイコールではないことくらい、子供でも分かることです。前者は「品質」であり、後者は「営業」だからです。関係性があることは間違いなくても、イコールで結びつけるにはあまりにも乱暴すぎるのです。

あくまでもイコールだと言うなら、「仕事をとってくれば(技術をみがけば)、技術が良くなる(仕事が取れる)」ということで、技術志向の人たちに「だから、営業行ってこい」と言ったらどうなるか…。それこそ拒否反応的なものが強烈に出てくるのは、想像に難くないことでしょう。

料理の世界でも同じです。「料理が上手=プロでやっていける」が成立するのか…という話です。当然ながら、料理上手とプロは一致するとは限りません。家庭料理が絶品な人が、「こんなに喜ばれるなら…」と、レストランを始めてそのまま成功に直結するのか…というのと同じです。

一時的に売れるだけなら、腕がなくても可能かもしれません。話題性やSNSマーケティングなどでブームを作ることも可能です。しかし、長きにわたって繁盛させていくには、やはり料理の腕がなければやっていくことは不可能です。そういう意味では、プロとして長く繁盛していくためには腕が必要ということは間違いありません。

一方で、料理の腕がいいから繁盛するかといえば、決してイコールではありません。腕が良いことと、それを「売れる形にして繁盛させていくこと」とは別の話だからです。

重要なのは、「料理の腕を活かして、繁盛させていくための武器と戦い方を手にする」ことです。この視点を持たずに飛び込めば、「売れるようになったらもう少し本格的に…」などとアマチュアのまま、自宅の片隅のような場所でやっていれば、どんなに料理が上手くても、食べてもらえる土俵にすら立てず、一生くすぶったまま…になってしまいかねません。

味が良くても、「売りモノになっていない」、「売り方を間違えている」、「買ってもらうための営業になっていない」となれば、誰もお金を払ってくれないのです。

残念なことに、料理教室では、調理技術は教えてくれても、「料理の売り方」は教えてくれないのです。音楽教室は楽器演奏の技術は教えてくれても、音楽で食べていくことを教えてはくれません。技術と売り方はイコールなどではなく、まったく別のものという動かぬ証拠ということです。

これは、他のビジネスにおいてもまったく同様のことが言えます。技術と販売はイコールではないのです。知識と営業も違うのです。コンサルタント業界にもそのまま当てはまる話です。

自分が持っている良き強みを、プロとしてやっていける武器に変え、繁盛させていく道筋や具体方法を組み上げていく…。

もし、自分の腕の良さだけを自負し、ビジネスの武器を磨きもせずに飛び出せばどうなるか。その未来は、料理の腕に自信を持ちながらも、店を開いた途端に閑古鳥が鳴く料理人と同じになってしまいます。

どれだけ腕が良くても、商品としての料理になっていなければ、やっていくことはできません。繁盛させていく方法を知らなければアマチュアで終わってしまします。

プロとは「売る道を歩む者」。それを知らずに、ただ「うまい料理を作れればいい」と考えるのは、天文学的に低い確率に賭けるのと同じような無謀な挑戦と知るべきでしょう。

あなたは、自分の腕の良さをプロとして活かそうとしていますか? ただ「腕がある」というだけでなく、それを「売る力」に変える戦略を持っていますか?

プロとして報われる報酬を手にすることを願うなら、進むべき道はアマチュアの道ではなくプロの道を選択することです。

著:五藤万晶

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