がんばれコンサルタント！ 第607号：コンサルタントが覚えておくべき、流行り言葉を使うときの落とし穴

「ゴトウさん、やっぱりマネタイズって難しいですよね、悩んでしまいます…」── コンサルティングのご相談でやり取りしている一幕に出てきたお言葉です。

自分のテーマ設定をじっくり考えていく過程で、「このテーマでいいのだろうか？」という悩みは、ある意味だれもが経験するものの一つと言えるでしょう。

これがすんなり決まればどれだけ楽なことか…、なのですが、実際問題、うんうん唸りながらテーマを少しずつ絞りこみ、さらには周辺も固めていきながら長期的な全体像を組み上げていく必要があります。自分のビジネスをしっかり築いていくには、避けられないことだからです。

簡単な話、この土台となる部分をまともに考えずにビジネスを行っていけば、「自分は何をやっているのか？」、「そもそも何を商売にしているのか？」、「これからどの方向に進んでいけばいいのか？」…といったことが分からなくなり、やがて迷路に入っていくことが少なくないのです。

家や建物でも機械でも、研究でも勉強でも芸術でもスポーツ…でも、あらゆるものにおいて言えることですが、「基礎、土台がしっかりしている」ことは、極めて重要です。土台が不確かであれば、ちょっとしたことで倒れてしまうことは、すべてのことに共通します。

だからこそ当社では、土台をしっかりさせることを口酸っぱくお伝えし、コンサルティング商売ならその根幹となるコンサルティングの体系化を提唱し続けているのです。

スタート時でも、途中からでも、気付いたときに手を入れて、しっかりしたつくりにすることは、ビジネスにおいて極めて重要なことだからです。

この過程を考えるとき、「不用意に何かを受け入れてしまう危険性」にも注意が必要です。いわゆる「流行りモノ」や「横文字言葉」などがその代表例です。

もちろん劇的な変革をもたらす本物の潮流もあります。その一方で、極めて一過性で世間を賑わしただけの流行りモノもあります。これらは玉石混交でビジネスのツールやサービス、ときには流行語のようになって、毎年のように我々の前に現れてきます。

何が一過性か…は、当然ながら見極めや判断が難しいものです。ただし、重要なことは、そうした新しいものに触れ、それらの言葉を口にするとき、「その本質は何か？」を必ず考えてみる…という点です。

単なる受け売りで使ったりしていると、自分が本来やるべきこととズレていったり、間違った方向に誘導されていってしまう恐れが高まるからです。

もっと怖いのは、「そもそも分かっていない」ということも珍しくありません。テレビや雑誌、ユーチューブなどでも、いわゆるカタカナの横文字言葉などをカッコいい風？に使って説明したりしている人がいますが、本当に分かって使っているのか？ と突っ込みたくなる場面に少なからず出くわします。

ご本人的には「当然わかっている！」と憤慨されるでしょうけれど、「じゃあ、その単語使わずに日本語だけで説明してみてください」と返した時、たいていの場合「えっと…」とシドロモドロニになることが多いのは、実際にご自分のコンサルティングの体系化をされに来られている方でも、本当に多いからです。

自分がやっていたこと、自分が言っていたことなのに、「実は、良く分かっていなかった…」と述懐される方は少なくありません。

「必死に考えてようやく分かってきた…。もし、まともに考えていなかったら…と思うと恐ろしいことですね…」とは、コンサルティングのご相談の際に、度々耳にする言葉です。

冒頭の方も、他の言葉に置き換えてみると、本質的に必要なことは、例えば「買ってもらえる商品化と、販売方法づくり」などになってきますが、横文字のままだと何か分かっているような分かっていないような…のまま、さまよいかねないのです。

あなたは、自分の商売において、やるべきこと、やろうとしていること…を、自分の言葉で正しく考え、そしてそれをしっかり伝えることができていますか？ 

もし、これがあやふやであれば、土台がしっかりしていないと思って間違いありません。増築も楽しいですが、土台固めにも楽しさがあります。なにより安心感が増し、それはクライアントにも伝わります。