がんばれコンサルタント！ 第513話：コンサルタントが押さえておくべき、「順番」による効果の違い

「ゴトウさん、最近クライアントさんのところの施策がすごく調子よくなってきまして、本当に順番って大事ですね～」── 先日、コンサルタント仲間が集って行っていたイベントで、立ち話をしていたときに出てきた話題です。

なんでも、２代目の若手経営者からのコンサルティング依頼で、半年ほど前からご指導に入っているとのことですが、当初はなかなか施策が進まなくて困っていた…とのこと。

進まない理由は「実行しない」という単純なもの。なんだそんなことか…という感じなのですが、単純に実行しない…というよりタチが悪いと言うとなんですが、「質問ばかりしてなかなか実行しない」という厄介なパターン。

この手が問題なのは、「本人的にはやっている」つもりであり、「準備をしっかりしている」つもり…という点です。しかし、語弊を恐れずに申し上げれば、この準備しているつもり…は、まさに「畳の上の水練」だということです。

そう、泳いだことのない人が畳の上で泳ぎの練習をする滑稽さを言っている諺で、まったく的外れで意味のないことの例えです。くだらない練習や準備より、さっさと水に飛び込んだほうが何倍も速く泳げるようになるのが現実です。

世の中、順番がとても大切なのです。水に飛び込んで溺れそうになったりもがいたりしたあとに、理屈をきいたり練習をすると、「ああ、そうか！」ともの凄い勢いで吸収して上達します。一つ一つ、感覚的にも鋭敏に理解し、そしてそれの意味が分かるからです。

ビジネスでも同じで、どれだけ入念に勉強や準備したところで、実際にお客様あいてに商売してみなければ、すべて「架空の話」です。お遊戯の世界には、生身のお客様もいなければ、お金のやりとりもなく、あるのは単なる理論と理屈、あるいは都合のいい話や屁理屈くらいしかありません。

そんなことをどれだけたくさん練習したところで、何の意味もありません。だからこそ順番が大事なのです。まずはやってみなさいよ…と。御託はそれから…だからなのです。

やっている…といっても、自分でビジネスを回している話と、アルバイトで仕事をしているのとでは、これまた全く別の話です。自分で回しているのか、人の回し車の上を走らされているのかでは、同じだと思っているほうがどうかしている話です。

冒頭の二代目経営者さんは、よくありがちな頭でっかちで理論や理屈には長けていても、実際にビジネスの展開なるときに「やらない」「進めない」のに対し、仲間のコンサルタントは、「まずやってから、ご質問を聞きます」と突っぱねた…とのこと。

なかなか勇気がいることですが、この若手経営者の方もそこでハッと気づかれたようで、まずはやってみてから…と順番を変えたというのです。

順番を変える…と文字で書けば実に簡単なことのように見えますが、実際にはなかなか大変だったに違いありませんが、その効果はテキメンで、何より質問の精度が桁違いによく、実に的を射た問いがくるようになったそうです。

当然、様々な施策のスピードも劇的に速くなり、その効果も以前とは比べ物にならないほどよくなります。実際にやっていなければ「漠然と一般論の質問しかできない」のが現実ですが、逆に実際にやっているときの質問は、生々しくポイントを押さえた問いになります。だからこそ効果も大きくなるのです。

大切なことは、小学生レベルの一般論を答えるなら、世の中に参考書的なものは山ほどあります。それを見てもらえばいいでしょう。逆に言えば、我々コンサルタントの場合、こうした実際に行ってもらい、そこから聞かれることに対して方向性を示して自分で考えて進んでいってもらえるように促すことにこそ、存在意義があると言えます。

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