がんばれコンサルタント! 第610号:コンサルタントが確認すべき、施策の実施判断時の前提条件

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「ゴトウさん、昨年からやっていた案件ですが、今一つなのでどうするかちょっと悩んでまして…」── 時折ご相談にお越しになるコンサルタント仲間の方のお言葉です。

当社の千代田区内にある事務所にお越しになられたのですが、扉を開けて入ってこられた時に一瞬気になったのですが、お話をお伺いしながらしばらくすると、ますますそれは確信に…。

なにかと言えば、「気が良くない」という感じ。意味が良く分からない…という方も多いかもしれないので、言い方を変えれば、「状態があまりよくない」という感じでしょうか…。

もちろん、誰でも「365日いつでも絶好調~!」なんてことは無いでしょう。良いときもあれば優れないときもあって当然です。変な話、晴れてるときは調子が良いけれど、雨のときはイマイチ…なんてことも珍しくなかったりします。

人間も自然界の一員に過ぎないのですから、お天気やお月さんなどに影響を少なからず受けていると考えられますが、もちろん、それがどうこう言いたいのではありません。

重要なことは、「自分の状態がどうなのか?」という確認の必要性です。理由は単純です。「良くないときの判断はアヤシイ」からです。

小学生の算数の問題を解いているならいざ知らず、ビジネスの世界、それも経営に直結してくるような施策の判断をするには、「自分の状態が良いとき」でなければ、恐ろしいほどの確率で誤ったジャッジをしかねません。

「自分はそんなことはない!」と思う人もいるかもしれませんが、名将と呼ばれた人でさえ判断ミスを犯すことがあるのは、歴史を少し学べば誰でも知っていることです。

さらに言えば、そのミスする確率があがる条件ということも押さえるべきでしょう。ミスする確率が上がるのは、「自分のこと」です。自分自身で見えないだけに、分かっているつもりでわかっていないことが多いのです。さらに言えば、感情が邪魔をしてしまい、強気と弱気が判断に大きく影響を与えてしまいがちです。

素人が株などに手を出したとき、まだまだ…と妙な強気で売り時を逸して暴落して塩漬けになったり、逆に大丈夫と買い進んでいたのにさらに下がった途端、臆して投げうって大損したり…などは、その典型でしょう。

正常な判断と自分では思っていても、感情が判断を狂わせ、おかしなことになる…というのは、古今東西よく耳にする話なのです。

逆に言えば、ここにコンサルタントの存在価値もあります。冷静な判断が難しい局面にいる経営者にとって、客観視できるのはまさに頼もしい存在だったりする訳です。もちろん、一筋縄でいかないことも多いですが…。。。

一方で、施策そのものに対する判断もあります。ビジネスにおいて何かの施策をする…ということは、それが効果を上げることを期待して行われるのが当然です。

問題はこのとき、「言い訳的な施策を行おうとしていないか?」 という点です。要は、アレコレ言っているけど、それは真っ当な方法ですか? それは正攻法ですか? ということです。

「無料キャンペーンでやればきっと…」とか、「プレゼントをつければ反応があがるはず…」、「安い価格帯のものがあれば…」…などなど、ほぼ共通してでてくるのが「安くする」または「低い階段のものをつくる」というものだったりします。

理由を聞けば、「いや、それは…〇▲◇×□…?!」といったよくわからないことを説明?!してくれるのですが、残念なほどに説得力が無いのも共通しています。

重要なことは、「どうすれば買ってもらえるのか?」このただ一点に対して、頭を使った正攻法で次の施策を考えることに尽きます。すなわち、積極的でまっとうな方法です。奇策こそ知恵と勘違いした単なる安売りや、妙な言い訳をしながら本質は安売り…では、望む効果は永遠に上げることはできません。

コンサルタントがこうした判断をするとしたら、もっと言えば、「自分がそういう判断をしそうになっている」と気づいたら、「あ、自分はいま状態が良くないに違いない」と思うべきでしょう。

実際、逆にコンサルティングで指導先に、安売りしかアイデアがないとしたら、そんなコンサルタントにまともな企業は決して頼まないことくらい、誰でも分かるはずだからです。

自分のことであり、感情もまざってまともな判断ができなくなっている…というのが、客観的に言えることなのです。

もしそういう状態に気づいたら、第三者にそれとなく聞いてみるのも一つです。冒頭の方は、それを感じて当社にお越しになられたのでしょう。

現実的な挑戦しがいのある施策をお伝えして、しばらくその実施に向かってがんばっていただくことになりましたが、事務所から出られるときにはお越しになられたときの雰囲気とはかなり変わっての笑顔が印象的でした。

あなたは、自分のビジネスの判断をするとき、良い状態での判断を心がけていますか?
 状態が悪いときの自分を見つけることができますか?

 

著:五藤万晶

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