がんばれコンサルタント! 第34話:眠い講演の理由

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第34話:眠い講演の理由

 最近、よく聞かれることの一つに、「セミナーや講演で、どういうふうに話せば、聞き入ってもらえるようになりますか?」というご質問があります。

 コンサルタントにとっては、セミナーや講演は、自分の考えやノウハウをお伝えする場として、とても重要な位置づけにあります。セミナーが下手くそだと、コンサルティングを依頼されなくなったりするので、話が上手か下手かは非常に重要です。

 ただし、ここで言う「上手」「下手」というのは、いわゆる「話し方の上手下手」のことではありません。いわゆる流れるように喋れる技術など、コンサルタントにとっては特段、必要ありません。そういう意味では、たどたどしくたって全然構いません。

 前職では、中小企業経営者向けのセミナーや本の企画・制作を20年以上していましたので、それこそセミナーや講演は、数え切れないほど聞いてきましたが、つまらないセミナーや眠くなる講演の一番は、「人の言葉を喋る人」。二番目は、「ハウツーだけをしゃべる人」です。

 他にも、やたらに横文字を使う人…とか、「こうあるべき」というべき論ばかり言う人…いうのもありますが、いずれにしろ、コンサルタントにとってのセミナーとは、「こんな方法がありますよ、このノウハウで貴社の悩みを解消できますよ」ということを、教えたり、アピールする場であり、そうした具体策を示すとともに、あなたの想いを伝える場でもあるのです。

 長い年年月の研究、失敗、試行錯誤、体験、工夫…などを経て、それらを体系化して始めて「知的ノウハウ」となります。ですから、本来とても俗人的なものなのです。失敗も含めたエッセンスを話すからこそ重みもあり、人は聞き入ってくれるのです。

 これが、自分の考えもなく、自分の実体験でもなく、表面的な「コトバ」だけを話せば、まさに人の言葉を借りて話すロボットのようになり、聞き手としては「別にこの人から聞かなくてもいいや…」となります。

 淡々とハウツーだけ話す人も同様で、こうした人の多くは、誰かが言っていたことや、どこかに書いてあったことを覚えて話しをしていることが大半です。ですから、ノウハウだけを話すというよりも、実際には、自分で苦労もせずに得たノウハウなので、それしか話せないというのが本当のところでしょう。

 自ら編み出したノウハウを語る場合、ハウツーだけになることなど、ありません。うまく行ったその何倍も失敗を重ねていて、ようやく生み出したものを語るとき、珠玉の言葉がちりばめられています。受講者は、それを本能的に感じ、「これは聞いておこう!」となるのです。

 つまり、「あなたの経験や体験を基に、あなたの言葉で語る」とき、受講者や聴衆は耳を傾けてくれる、ということです。「あなたの主張」こそが、最も重要ということを忘れないでください。

 

著:五藤万晶

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