がんばれコンサルタント! 第742号:コンサルタントとして見逃してはならない、「小さな違和感」への気づき

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「ゴトウさん、なんか腑に落ちなかったのがきっかけでここに来たんですよ…」── 先日、五藤のセミナーにお越しになられた経営者の方が、会場でお声がけいただいた際に、口にされたお言葉です。

伺えば立派なお会社を何年も経営されている方で、コンサルタントを入れて経営改善に取り組まれていた時期もあったとのこと。名のとおったコンサル会社ということもあり、期待もあったといいますが、しばらくすると、何か妙な感覚がどうしても頭から離れなくなったというのです。

その「妙な感覚」とは何か。小さな違和感ではあるのですが、自社がコンサルティングを受けているはずなのに、盛んに質問されるのは自分たちの会社でやっていることばかりだった」というのです。

小さな違和感はやがて大きな確信に変わることになります。──「詳しいのは自分たちの方では?」と。

実は、この手の話は珍しくありません。お勤め時代にコンサルティング会社が入ってきて、いろいろと聞かれる。最初は経営改善のきっかけになることを願って、一生懸命話をして、担当者に伝えたり手伝ったりしていたものの、小さな違和感が徐々に大きくなって…。

小さな引っかかりが、ずっと頭の片隅に居座っているのです。やがて確信に変わります。「自分のほうがこの分野においては経験もカンもあるし、絶対に詳しい…」と。そういう経験をされてきた方が、当社にお越しになることは少なくありません。

では、なぜこういうことが起きるのか。重要なことは、コンサルティングと称していても、それが覚えればいい程度のものだったり、計算や分析をすれば出てくる、業界のやり方を並べれば方法論が見えてくる、そういった類のものであればどうなるか…という話です。

当然ながら、現場ではほとんど役に立ちません。理由は単純です。「すべての経営現場は、どれ一つとして同じではない」からです。業種も業態も人数も売上も、商品も取引先も地域も業歴もお客さまも、関係するプレーヤーも何もかもが違うのです。

ハッキリ言って、どこかで覚えてきた程度のなんちゃらコンサルティングとやらで対処できると考えるなら、それがいかに浅はかであり、愚かであり、もの知らずか…ということです。

そう、だからしょうがなく、クライアントにそれとなく訊いてなんとなくコンサルティングをやっている風にして誤魔化している…というのが実態です。

一方で、5年、10年、20年…と経営の現場で試行錯誤してきた人の頭の中にある、現場力を伴った考えやノウハウは、極めて重要な「感覚値」をもっています。

本人的には「自分の会社以外はよく知らないので…」と思っている方がとても多いのですが、そんなことはありません。なぜなら、この感覚値を多くの現場にも使えるように、もっと言えば「概念で扱えるようにするのがコンサルティングの体系化」だからです。

体系化の絶対条件は感覚値というベースがあることです。机上の空論で水泳ができないのと同じであり、波乗りしたことがない人がユーチューブを見てもサーフィンはできないのです。

感覚値は長年の蓄積された知識や経験をベースに築き上げられるものであり、これこそが唯一無二のコンサルティングを生み出す体系化の原石です。

だからこそ、現場を知っている経営者や担当者の方が「詳しいのは自分たちの方では?」という感覚を覚えるのは至極当然なのです。相手の肩書は立派でも、単なる現場を知らないサラリーマンだったりするからです。

その違和感は、あなたが感じたちょっとした気のせいなどではありません。本質を突いた正確な感知なのです。大きい違和感は放っておけばいい。小さい違和感にこそ、本質的な問題点が隠れているのです。

小さな違和感には、感情的に何かがわずかに引っかかりがあります。「なぜ引っかかったのか」「自分のどこに気になった部分があったのか」。

この問いを、立ち止まって自分に向ける習慣があるかどうかで、その後に起きることが根本から変わってきます。そこには必ず、自分のやってきたことや、積み重ねてきた人生観とぶつかるもの、あるいは整合性といったものが存在しているからです。

冒頭の経営者の方は、この小さな違和感を大事にされた方です。「詳しいのは自分たちの方では?」という感覚を、うやむやにせず、正面から向き合われた訳です。

だからこそ、「今まで自分が培ってきた経験やノウハウをしっかりとしたコンサルティングとして作り上げ、それを本当に必要としてくれる方々に提供したい」と、コンサルタントの道を歩むことを考えられた訳です。

違和感を「気のせいだろう」と流した人と、違和感を「なぜ気になったのか」と掘り下げた人。この二人の間に、時間をかけてどれほどの差が開いていくか。それは取り返しのつかない差になっていきます。

当社がお手伝いしてきたのは、まさにここです。5年、10年、20年と現場で知識や経験、ノウハウを培ってきた方々の頭の中にある無形のノウハウを、いかにお金になるコンサルティングに変えるか。

その人にしか持ち得ない「現場の感覚」「現場での違和感の蓄積」こそが、本物のコンサルティングを生み出す源泉だからです。

整然と並べられたフレームワーク、シートに書き込む分析作業、教科書に載っている手順論。これらは「答えが出た」という安心感を与えてくれます。しかし、経営の現場はそれで動いてはいません。現場を知っている人間ならば、そのことをあなた自身がよくわかっているはずです。

だからこそ、「なんか違う…」という感覚を覚えたときに、すぐそれを手放さないことです。引っかかりを気のせいか…と放置することは、宝を見つけながら砂の中に埋め戻す行為と同じです。もったいないどころの話ではないのです。

重要なことは、自分が長年をかけて積み上げてきた経験やノウハウと、目の前で起きていることとの間に生まれる「ズレの感知」を、いかに大切に扱えるかどうかです。その感知力こそが、あなただけのコンサルティングを生み出す出発点に他なりません。

あなたは今日、小さな違和感を見逃していませんか?

著:五藤万晶

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