「ゴトウさん、ここのところの制…
がんばれコンサルタント! 第741号:コンサルタントが見落としがちな「蟻の一穴」と自分のビジネスの本当の弱点への着目

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「ゴトウさん、実は知り合いのコンサルタント仲間から、一度相談に行ってみたらと言われまして…」── ご紹介でお越しになられた、独立5年目のコンサルタントの方が、少し緊張した面持ちで口にされた最初のお言葉です。
お話を伺ってみると、独立して以来、売上は順調に伸びてきており、クライアントも複数抱えているとのこと。外から見れば、「かなり順調」という印象です。ところが、話を深掘りしていくにつれて、じわじわと浮かび上がってくるものがありました。
端的に言えば、売上の大部分が数社のクライアントへ依存しているという実態です。ひたすら走り回ることで売上を作ってはいるが、商売が強くなっていく本当の意味での仕組みがどこにもない。
さらに問題だったのは、当のご本人は、この状態に対して、どこか「まあ、なんとかなるでしょう…」と思っていたというのです。恐らくこれを心配した知人コンサルタントが、当社への相談を促されたのでしょう。
世の中、「どうにかなる」ことと「どうにもならない」こととがあります。売上をつくることは「どうにかなる」ことでしょう。しかし、「仕組みや構造」は勝手にできあがることは絶対にありません。すなわち「どうにもならない」ことです。
自分の商売の弱点というのは、本当に自分ではなかなか分からないもので、売上が上がっていると、その数字が「大丈夫」のサインに見えてしまいます。
いや、もっと正確に言えば、「大丈夫と思いたい」という心理が働き、本質的な弱点から目を逸らさせてしまうのです。しかし実際には、放っておけば置くほど、穴や傷口はむしろ悪化していくことが大半です。
台風や大雨のとき、堤防が決壊するのは「必ず弱いところから」です。それは、通常時にはまったく気づかないようなところ、ほとんど分からない僅かな欠陥、ごくごく小さな穴から徐々に崩れ始めます。そして崩れ始めたが最後、一気に崩壊します。
「蟻の一穴」という言葉は、ビジネスにも起きることです。小さな穴を、普段から意識して探し、ふさいだり補強するための手を打っているかどうか…。
重要なことは、「弱点は必ずある」ということです。気づこうとしているか目をそらしているかの違いです。巨大な企業でも、あれよあれよという間に消え去ったりしたことは、新聞やニュースでも幾度となく報じられてきたことです。「あの会社が?」…と。
決壊してからでは手遅れになります。だからこそ、日ごろからの点検、補強が極めて重要であり、この差が、取り返しのつかない差となって表れるのです。
10年、20年…と商売で生き抜いてきた方々は、一度や二度は、必ずといっていいほど大変なビジネス的危機に遭遇しているもので、簡単に言えば、そうした危機を突破してきたところだけが残っているのが、10年企業、20年企業という話です。
こうした企業に共通することは、「自分の弱点」を直視し、それを補強、強化してきた…ということです。だからこそ、生き残っているのです。
コンサルタント業は、表面から見れば「先生業」の他の方々と非常に似て見えます。しかし、突き詰めて聞いてみると、結局のところその違いを本当には理解している人は、実のところ非常に稀だったりします。
ビジネスモデルが大きく違うにも関わらず、「似て非なる仕事」を真似ていればどうなるか…。コンサルタント商売の回し方をしっかり理解していなければ、商売の弱点が何かすら、正しく把握することは困難になります。
大切なことは、自分の商売の弱点を理解しない限り、本当の意味で強い商売にしていくことは絶対に不可能ということです。
弱点が分かっていないということは、手の打ちようが分からないということだからです。病気でも怪我でも、どこが悪いか、何が悪いか分からなければ、手の施しようがありません。「なんとなく元気そうだから大丈夫」と思っていても、重大な疾患は静かに進行していたりするのです。
時間は有限です。放っておくと、人間は本能的に「強み」や「得意なこと」にばかり目が向きます。だからこそ、強みを活かすことと、弱点を理解して対処していくことは、必ずセットで考えることです。
得意なことをやっているほうが、気持ちいいですし、成果も見えやすいからです。しかし、防御的な仕組みをつくることをセットにしない限り、守りの足元はおろそかになっていくばかりです。
怖いのは、走れば走るほど疲弊していくことです。しかし止まれない。思考力も落ちていく。気づいたときには、対処療法ばかりでより危険度の増したビジネスの真っ只中にいる…。
笑えない話ですが、これが決壊に向かうときの現実です。
冒頭の独立5年目の方も、まさにこの状況の入口に立っていたと言えるでしょう。今はまだ走れている。体力もある。だから問題が見えにくい。しかし今の延長線上に5年後を描いたとき、何が起きているか…。ご本人も、話しながらその問いに向き合い始めていました。
重要なことは、ビジネスの全体像を俯瞰して、戦略的に手を打っていくことです。自分のビジネスのコアが何かをしっかりと理解しながら、強みを伸ばすと同時に、弱点を着実に潰していく。3年後、5年後に、「あのとき手を打っておいてよかった」と言えるかどうか。それが問われているのです。
自分のビジネスの弱点は、自分では見えにくいものです。だからこそ、客観的に見てくれる存在が必要ですし、コンサルタント商売とはそうした仕事ですが、自分自身も定期的に立ち止まって、全体像を点検、見てもらう習慣が不可欠と言えるでしょう。
あなたは今、自分のビジネスの弱点から目を逸らしていませんか?売上という数字に安心して、足元の穴を放置したままにしていませんか?
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