がんばれコンサルタント！ 第684号：アルコールに学ぶ、コンサルティング手法に対する考察

「ゴトウさん、ワインって味わいがあってやっぱりいいですよね～」── 親しいコンサルタント仲間と、暑い夏ならではの良く冷えた白ワインで楽しく一杯やっていたときに出てきた言葉です。

世の中には本当に様々なお酒があり、楽しみ方も千差万別です。日本酒が「SAKE」として海外でも広く認知され、イタリアンやフレンチのレストランでも提供されるのが珍しくなくなりました。

「単なる呑兵衛としては、アルコールなら何でも構わない」と言えば、きっと嗜む方々からお叱りを受けかねませんが、料理との組み合わせや飲むシーンに応じて、色々アルコールを選ぶのはやはり楽しいものです。

興味深いのは、数あるアルコールには、その製造過程や特性において大きな違いがあるという事実です。そしてちょっと大げさに聞こえるかもしれませんが、この本質的な違いを理解することは、コンサルティング商売において非常に重要なポイントがあります。

例えば、ビールのように工業的に大量生産されるものは、常に均一な品質と味を提供することが当然とされます。ある意味当たり前です。毎度いつも飲むビールの味が違ったら、「なんだこれ？」と思うはずです。

一方でワイン、特に小規模なワイナリーで造られるものは、ヴィンテージや環境により同じ味を再現するのは至難の業です。

しかしその難しさの裏返しとして、ワインには特定の気候条件などが揃った「当たり年」というものが存在します。「〇〇年のどこそこのワインは、飛び切りの上物だ」と評価されるように、特別な価値が生まれたりします。

世の中を見渡せば、「常に同じ品質」に価値があるときもあれば、「個々の違いや唯一無二の特性」にこそ魅力や価値がある場合もあります。

言うなれば、常に同じ解決策を提供する汎用的なコンサルティングと、個別最適化を追求するコンサルティングの違いに重なります。

さらに興味深いのは、しばしばワインと比較されるものに日本酒があります。様々なブランドがあり、一つ一つが小さな醸造所で造られいることが多いことなど、似ている点は数多くあります。

しかし、日本酒の世界では、ワインのように「当たり年」という概念はほとんど聞きません。
原材料である米の出来不出来は当然あります。気温、水の質といった様々な外部条件も変化します。しかし、日本酒は常に同じ味を出し続けます。

そこには、杜氏が長年かけて培ってきた熟練した「凄い技」が隠されています。いかに条件が変わっても、常に一定の高いレベルの味わいへと仕上げるノウハウは、まさに驚嘆に値すると言えるでしょう。

ビジネスの世界においても、機械的に常に同じ品質や定型的な答えを提供する、没個性的なアプローチは存在します。マニュアルを記憶し、資格やライセンスを取得し、それに基づいてサービスを提供する…。これは、一定の成果を出すビジネスのやり方と言えます。

一方で、自分が積み重ねてきたことを活かして、一つ一つの案件に、個別に対応するアプローチもあります。案件ごとにやる内容も、まったく違うため、ある意味ゼロベースで考え、対応策を練ったりします。

このため、結果に「当たり外れ」が生じやすく、そこを何とか引き上げることや、バラバラの案件をどうにか汎用的に扱えないものか…というのが悩みの種だったりします。

では、自分の過去など個性を活かしたコンサルティングで、日本酒の杜氏が為すように「高水準の当たり」を継続するにはどうすればいいか…。

ここに、「体系化」という最も重要なキーワードが出てきます。これまでの「自分が積み重ねてきた知識や経験、ノウハウ」などを、高水準で成果をだせるコンサルティングにする「体系化」こそ、まさに杜氏の技と同じと言えます。

これにより、提供するサービスの品質に一貫性が生まれ、クライアントに安定した成果を提供できる「独自のコンサルティングビジネス」が確立されるのです。

いわば、独自性を最大限に活かしながらも高水準の品質を保てる驚異的な手法…というのがコンサルティングの体系化です。

あなたも、個性を活かしながらも高水準、高品質、の道を歩きませんか？