がんばれコンサルタント! 第106話:万人受けの発信を考えていないか?
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第106話:万人受けの発信を考えていないか?
先般、第104話にて、「コンサルタントとして、コラム発信で必ず押さえるべき重要ポイント」を書かせていただきましたが、メンバーの方からご質問がきましたので、もう一つ大事なことを記しておきたいと思います。
先に断っておきますが、これはあくまでも「コンサルタント業にとって重要」という点を忘れないでください。講演講師業や、ビジネスタレント業の人とは考え方は大きくことなります。彼らの場合は、基本的に多くの人に好かれなければ、ビジネス的にやっていけないという構造性があります。ここは、職業的特性を正しく理解していないと、うまくいくことも全然反対の結果がでてきてしまいますので、本当に注意が必要です。
さて、もうひとつ大事なこととは、発信内容は、決して万人受けする必要はなく、「コンサルタントが発信すべきは強い主義主張」という点です。
なぜ、コンサルタントが発信すべきは「主義主張」かと言えば、それは「実務を変革する責任を負っている」からです。
分かりやすく言えば、コメンテーターや評論家なら、誰もが傷つかない耳にやさしいことだけを言っていても仕事になりますし、逆に、とても実現不可能な机上の空論をぶち上げていても仕事になります。
しかし、コンサルタントの場合は実際に「あなたにお願いしますので、よろしくお願いいたします」と依頼されて、それを実際に実現させることができなければ仕事になりません。キレイ事を言っているだけでは、お話にならないのです。
「変える」ということには必ず「抵抗」や「軋轢」「問題」…などが生まれます。それらのことに対して、具体的な対処をし、次なる打ち手ををくりだして問題を突破し、「実際に変える」ことができなければ、単なる「アイデアマン」や「指示を出しただけの人」になってしまいます。
コンサルタントにとって必要なことは、こうした抵抗や問題をも越えて、企業を繁栄に導く骨太な思想と具体実務なのです。これらについての主義主張の発信こそが、みずからの存在価値を築いていくために必須の活動ということなのです。
逆に言えば、コンサルタントが、「長いものに巻かれろ」的に、新聞雑誌の時事ネタに合わせて「ああいう会社のやり方はおかしい!」だとか、「こういう制度がないのは政府が悪い」といった、いわゆる大衆迎合的な発信を始めたら本当に要注意ということです。
経営の軍師となって企業の内部に入り、多大な影響を与えるコンサルタントの場合、誰かに好かれようとしてメッセージがフラフラしていたり、何が本当に重要かを考えずに、軸が曖昧だったり変わるようであれば、これは一体どうなるか…ということです。
こういうことは、メールやブログなどを見てみるとき、「本人の主義主張」か、または「何かに反応した評論やコメント」かで、すぐに分かってしまいます。
「主張」とは、「自ら考えていることを発信する」ということです。要は、「自分の考えややり方はこうこうだ!」ということです。
これは、評論や批評、コメントのレベルではなく、自ら深く考え、軸をしっかりさせていくことをしていない限り、常にフラフラしていくことになります。 軸を持つということは、時と場合によっては好き嫌いの対象にもなりますし、意見の対立も生み出すことにつながります。ですから必然的に一部の、特定の考えの方とだけしか、共鳴しあうことはできません。
当然ながら、人気取りが必要な他の職業の場合、このやり方は得策ではありません。幅広く人気になることを目的とするなら、ふわっとした話で、皆に楽しく面白く読んでもらえる方が効果的だからです。
しかし、コンサルタントの場合、特に企業向けコンサルタントの場合、一般向けに人気があがっても意味がありません。企業の内部に入って実際の実務のお手伝いをする訳ですし、経営者としても、上っ面の意見や一般的なコメントを発信している程度の人では「到底依頼に値しない…」ということになります。
多くを言うまでもなく、評論や批評は自分の考えや意見、主義主張の発信ではありません。他人の考えを利用した二次的発信にすぎません。
コラムなどを執筆されたことがある方ならすぐにお分かりいただけると思いますが、何かを発信したい、発信しなくては…と考えても、普段から必死に思考をめぐらせ続けていなければ、そう易々と書けるものではありません。
そうした努力もせず、コメントや評論だけをさも立派そうに書いているのが似非コンサルタントです。実は、みずから発信する内容もなければ主張もない…というのが実態だったりする訳で、これらはまさに、「自分の考えや主張は無いが、文句だけは一人前に言いたい」という、実に情けない状態ということなのです。
自称コンサルタントの人で、盛んに企業や他のコンサルタントの方を攻撃している人もいますが、それらの大半は、「最近声がかからない…」とか、「思うように売れない」、「仕事が減った…」といった妬みやジェラシーといったことが大きな原因にあげられます。売れて忙しいコンサルタントは、他の人に構っている暇などありません。
冷静に考えれば、「批判」の本質は、「誰かの考えに対する抵抗・反対」であるため、そこに主体はありません。このため、何か創造的な活動につながることはありませんし、当然ながら、そうした人にコンサルティングが依頼されることもないのです。
コンサルタントなら、自らの考えを発信することです。コンサルタントとして活躍を志すなら、一つ一つ、自分の考えをまとめて、そしてそれを表明していく…という、当たり前でありながらも、本当に大変な棘の道を歩くしかないのです。
自らの道を強く切り開いていこうとするコンサルタントは、その考え方や主張に個性が宿り、そして力強いエネルギーを放ちはじめます。その独特の匂いと輝きに魅せられた企業や経営者が、あなたに徐々に近寄ってくることになります。
あなたは自らの主義主張を発信していますか?
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