がんばれコンサルタント! 第335話:コンサルタントが覚えておくべき「必要は発明の母」の本当の理由

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「ゴトウさん、いやぁ~、ちょっとひどい目に遭いましたよ…」── 先日、仕事先でちょうど時間が合いそうなので、仲間のコンサルタントと会ったときの開口一番の言葉です。

ひどい目に…という言葉どおりといいますか、いつもの笑顔はそのままでも、心なしか顔色がすぐれない感じ。なんかあった…というのは、すぐに伝わってきたので、一杯やりながらお話を伺うことに…。

なんでも、ある経営者の方にコンサルティングのご説明をしていたそうですが、いくら真剣に伝えても、反応がどうにも感じられない上に、どこか拒否反応的にお帰りになられた…とのこと。

これまで一度もそういったケースはなかっただけに、何か大きな落ち度があったのではないか…と心配で…と、ちょっと落ち込んでいるご様子。

なるほど…、コンサルタントにとって「コンサルティングの説明」とは、ある意味「営業」と言葉を置き換えてもおかしくないくらいに、非常に重要な活動の一つです。しっかりした説明なきところに、まともな理解はあり得ませんし、理解なきところの契約など、これまたあり得ないことだからです。

ですから言葉を変えれば、「営業上の失策」をやらかしてしまった訳であり、そのために現実的な失注がおき、そして「これが繰り返すのでは?」という不安が襲ってくるため、どうしても「浮かない…」気分で落ち込んだりする訳です。

これはコンサルタント個人だけの問題ではありません。商売やビジネスで考えるときにも、「何か事が上手くいかない…」ということが続いたとき、人は誰でも「このまま失敗がくりかえされるのでは…」と不安にかられたりします。

いわゆる「失敗」とか「窮地」という局面ですが、このとき、冷静に考えるべきことが一つあります。それは、「その失敗は、本質的なものに起因することかどうか…」という、ただ一点です。

世の中には、失敗を分析したがる人がいます。これ見よがしに「あの会社の失敗の原因は…」とか、「あの人の失敗は…」と、ほとんど井戸端会議のレベルで、ああでもないこうでもない…と失敗点をあげつらうのが大好きな人達です。

もちろん中には、「本質をついている」鋭い指摘というケースもあります。しかしほぼ間違いなく大多数は、枝葉末節なレベルを突いては「これが原因だ!」といったことで悦に浸っていたりします。

なぜ枝葉末節になるのか…、これまた理由は簡単です。騒いだり話題にしている人は、経営をしたこともなければ、ビジネスを行ったこともない「担当者」だったりするからです。

考えてみれば分かりますが、一担当者レベルの失敗ごときで会社が傾いたりつぶれるとしたら、そもそも論として、会社の体をなしていない…という話です。そして目に見えない経営の本質的な部分など、外部の担当者レベルの人に、いったいどうやって理解できるのか…ということです。

重要なことは、経営の根幹の部分、ここに間違いがなければ、その他の事は、それこそ枝葉末節で些細なこと…ということです。逆に言えば、根幹こそ重要であり、根幹が定まっていないと、常にゆらゆらと不安定な表層的な経営に陥るわけです。

ビジネスとは面白いもので、例え小さな単位であっても「経営」をしていると、経営者としての展開を考え、そして打ち手も経営レベルで考えるようになります。一方、どれだけ大きな会社であっても、雇われ経営陣は、やはり勤め人の思考で動き、その経営上の打ち手も極めて担当的であり表層的になりがちです。

自分が関わっているときに…とか、関わっているときだけは…というのは、口にこそしないかもしれませんが、雇われ経営陣やプロ経営者、M&Aで売買…といった人達に多い思考回路の一つです。

担当者思考の人が考える典型例は、「失敗の原因究明」と「失敗責任の追及」です。さらに付け加えるならば、「技巧的な思考」であり「短期的な思考」が挙げられます。

販促担当者などを見れば、すぐ分かりますが、「自分が関わっているときに成果がでれば…」を考え、およそ事業の長期的な展開、ブランド構築…といったこととはまるで違う思考軸で、仕掛けを考えようとします。

もし、経営者に寄り添うコンサルタントが、こうした思考レベルになればどうなるか…。そしてなにより重要なことは、「本質に誤りがないのであれば、迷ううことなく上手く行く方法を次々に考える」ことです。

悔やんだり悩んだり、ボヤいたり、文句いったり、悲しんだり、腹を立てたり、憂いたり…している時間こそがムダということなのです。

発明王エジソンの名言の一つに、
私たちの最大の弱点は諦めることにある。成功するのに最も確実な方法は、常にもう一回だけ試してみることだ。
というのがあります。

「必要は発明の母」という言葉がありますが、必要だからといって何かが自然と生まれることなど、決してありません。

失敗原因の究明は重要かもしれませんが、あくまで次の一手を探すこととセットでなければ何の意味もありません。

しかし現実は大きく違っていたりします。原因究明をしたがる理由の一つに、それをすれば体面をつくろえる、責任を転嫁できる…というものがあります。事実、原因究明で満足する人、理由をつけてやめる人…が世の中大多数というのが、その最大の証拠です。

最も重要なことは言うまでもなく「どうすれば上手くいくか」に尽きます。「諦めずにもう一度やる」という大前提こそが、必要は発明の母の根本原理なのです。

本質が間違っていないのであれば、やることはたった一つだけです。そしてそこには、常に答えはなく、答えをつくっていくしかありません。それが商売であり、ビジネスであり、コンサルタントの仕事…です。

常々申し上げているとおり、分析したからといって「だから何?」という話です。

ペラペラ上辺でしゃべる人達と極めて対照的に、偉大な経営者は総じて、他社の失敗に関して多くを語ろうとしません。自分ならどうするか…、自問自答されているのが浮かんできます。

あなたならどうしますか? あなたの知恵とアイデアで、事業経営を伸ばすお手伝いを本気で考えるとき、あなた自身の壁突破も「チャンスの神様」は見ています。

あくなきチャンレンジ。あなたも続けてください!

著:五藤万晶

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