がんばれコンサルタント! 第331話:コンサルタントが絶対に身に着けるべき「商売の思考軸」とは

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「ゴトウさん、お陰様で今までになかった受注につながりそうです、ありがとうございます!」── コンサルタント起業をされ、定期的にセミナーを開催されている方からの、ちょっと嬉しいお言葉です。

この方、すでに何回もセミナー開催を実施されていて、しかも何件も受注獲得をしてコンサルティングをされてきている方です。ところが、先般わざわざ「ご相談が…」とお越しになられたのです。

「あれれ?」と思って事情を伺ってみますと、「いや、自分はまだ分かっていない部分があると思いまして、それを早く修正というか、出来るようになりたいので…」とのこと。

言ってしまえば、受注獲得のために必要な、様々なことの組み合わせや感覚的なことを、どうすればもっと上手に活かして確率を上げられるか…という、超実務の話です。

なぜここが重要かと言えば、僅か数パーセントずつの積み重ねかもしれませんが、それが10種類積み重なると、受注獲得率は5割アップとか2倍、3倍…といったことに、現実につながっていくからです。

面白いのは、「ほとんどやったことがない人」、「これから始める人」…といった人ほど、「自分は分かっている」と思っている点です。冷静に考えれば、まったくと言っていいほど、本当は何も分かっていないにも拘わらず…なのにです。

これには単純な理由があります。早い話が、「分かっていないことにすら、気づけていない」ということです。小学生が仕事や社会を語る…と言っては語弊があるかもしれませんが、それくらいに「分かっていない」ために、思考の根本が実に危うい訳です。

それはすなわち、「自分に何が必要なのか分かっていない」という致命的な問題を抱えたまま、続けることになります。このため、問題が起きてもすべて対処療法となりますし、問題の根源も理解不能。当然、失敗が起きてもその本質的な理由は分からずじまいですから、常に現象面での判断に終始することになります。

ビジネスを強くする根本原理として、「積み重ね」ができる構造に持ち込めているか…が重要ですが、それはつまり、「確率をあげる仕組み」のベースにしっかりのせられているかどうか…という話です。

このために必要なことは、実は極めて簡単です。「思考軸をつくりあげる」ことに尽きます。思考軸さえできていれば、初めて遭遇することにも対処できるようになるからです。

「そんなこと、分かっている」と、聞こえてきそうですが、そもそも社会に出て、「商売」を実際に体験したり、実践してきている…というのなら、それはおっしゃるとおりですが、圧倒的大多数の人は、会社や仕事上の「一部分の役務」しかやったことがない…というのが偽らざる現実でしょう。

要は、仕事はしたことがあっても、商売はしたことがない…のに、分かったつもりになっているという話です。この差は本人が思っている以上に大きく、これを理解できていないのに、一体どうやって経営の指導をするのか…ということです。

逆に言えば、思考軸ができていない場合、どれだけ「事例を覚えて」いたり、「失敗を経験」したり、「学習」していたとしても、大事なときにはじき出す答えが正しいかどうか…は、極めて怪しいものになりかねません。

理由は言うまでもなく、軸が定まっていない経営上の判断など、所詮は目の前のコインが多いかどうかで決めた程度の、実に薄っぺらいものでしかないことが分かり切っているからです。

世の中では、「チャレンジが大事」という言葉をよく耳にしますが、明らかに無駄骨のチャレンジも存在します。ベースになる考えや思考軸がまともにできていない段階で、ただ単に勢いやノリでやろうとする場合です。

ベースが出来ていなければ、そもそも積み重ねができないため、どれだけ努力しても一向に積みあがることはなく、単に時間とおカネが無駄に過ぎ去るだけになってしまいます。

さらに言えば、分かったつもりという、最も危険な状態で分かったふうなことをする場合です。本当に知らないことを自覚していれば、その恐怖から謙虚になるところを、本人も気づかぬ間に、実に傲慢かつ横暴なことが無謀に行われてしまいがちです。

この結果起きることは、「負の印象の拡大」という、最も致命的なミスを連発することになっていく訳です。商売の恐ろしさを知らないがための、失敗の連続の引き起こし…です。多くの場合、その失敗にすら気づいていないのですが…。

どうせ努力するなら、基盤をつくった上で、積み上げられる土台をつくった上でエネルギーを投入すれば、その力は何倍にも活かせるようになるということは、これは誰にも分かることだと思います。

冒頭のコンサルタントの人は、これまでクライアントにすることができていなかった会社層を、セミナーで見事にお声がかかるようになり、対象を大幅に広げることに成功されました。まさに、分かっていなかったことに対する貪欲な姿勢の賜物と言えるでしょう。

あなたは、自らのビジネス展開のための土台を、まずはしっかりつくることを考えていますか? それは分かったつもりではなく、本当に腹落ちして分かるための努力をしていますか?

 

著:五藤万晶

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