がんばれコンサルタント! 第736号:「本当に思い切って挑戦してよかった」── バッターボックスに立たない限り、一生分からないこと

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「ゴトウさん、本当に思い切って挑戦してよかったと思っています」── 一昨年前に当社のセミナーにお越しになられてコンサルタント起業をされたお仲間と、夕方になって少し暑さが和らいだタイミングで一杯やっていたときに頂いたお言葉です。

この言葉を聞いたとき、正直こみあげてくる嬉しさがありましたが、お越しになられて決断された当時のこともよく覚えています。決して簡単に決められるような一歩ではありません、それは傍から見ていても、明らかでした。

「挑戦」とは会社勤めをやめて勝負に出られたことですが、「独立してやっていけるだろうか…」、「上手くいくだろうか…」、「家族を養っていけるだろうか…」と、悩みがつきることはないでしょう。

悶々として、眠れない夜を経験された方も少なくないでしょう。「どうしようか…」う~んと悩んでしまう。やろうとする自分がいるがもう一人の自分が「危ない」と止める。止める自分を「理性的」と思っている自分もいる。だからますます答えが出せない…。

そう、人生がかかっていると言っても過言ではないだけに、悩みに悩んで当然だと思います。堂々巡りをしてもそれは仕方がないと言えるでしょう。

ただし、ここで一つ、とても重要な現実があります。それは、「やってみない限り、一生分からない」ということです。

「当たり前のことを言うな!」…という声が聞こえてきそうです。そう、当たり前のことを申し上げています。

ですが、その当たり前以上の答えはないのです。

成功するかどうか、上手くいくかどうかは、どれだけ分析しようが事例に学ぼうが、「やらない限り分からない」のです。これは冷たいようで、しかしこれほど公平な事実もないのです。

重要なことは、ここ数年の社会の変化を眺めていると、「他人がつくった道を歩く」ことのリスクが、かつてないほど高まっていると痛感させられることです。

中小企業の栄枯盛衰はもとより、大手企業でもリストラの話はもはやニュースにすらならないほどです。かつての「定年まで勤め上げる」という人生設計の話など、いまどきの若い人に聞かせたら、「意味がわからない…」と返されたりするのが現実です。

さらに今、追い打ちをかけるようにAIが急速に台頭してきており、「この仕事は自分にしかできない」だったことが、急速に崩れていっています。

ハッキリ言えば、ビジネスの主体者でない限り、「自分にしかできないというのは、単なる思い込みだった」ことを否応なく突き付けてくる時代です。もかかわらず、多くの方々が依然として、「誰かがつくったレールの上」に自分の人生を委ねていたりします。

それが悪いとは言いません。ただ、一つだけ確認していただきたいことがあります。それは、「10年後、20年後も、自分の意志と努力で今の仕事を続けられるかどうか」という問いです。

答えが「分からない」なら、それはつまり、自分のことなのに、自分のコントロール下にない…ということを意味します。自分のコントロール下にないとしたら、それは他人のために費やしているということです。

他人のために費やしているかどうかは、実に単純に判断できます。自分が努力さえすれば今の状態をキープできるかどうか。それだけのことです。

語弊を恐れずに申し上げれば、「誰かの判断一つで、自分のやってきたことをやめさせられるとしたら、それを“自分の人生”と呼べるのか?」…ということです。

当たり前ですが、人生の時間は有限です。そしてその有限な時間を、自分のコントロール下に置けるかどうかの差は、思っている以上に大きい違いになります。

だからこそ重要なことがあります。それは、「打てるかどうかはバッターボックスに立って、バットを振らない限り絶対に分からない」ということです。

当社のセミナーには、毎回、真剣に起業や独立を考えておられる方々がお越しになりますが、その中には、すでに十分な準備と覚悟をお持ちの方もいれば、まだ迷いの中にいる方もいます。どちらの姿も痛いほどよく分かります。まったく同じ道を歩いてきたからです。

眠れなかった夜のことを、今でも鮮明に覚えています。天井を見つめながら、頭の中でシミュレーションを繰り返しても、答えなど出てこない。しかし、ある夜ふと気がついたのです。「いくら考えても、やらない限り答えは出ない」と。

大切なことは、高校野球と商売のバッターボックスとには、決定的な違いがある点です。高校野球は一回負けたら終わりですが、商売は、やめない限り何度でもバッターボックスに立てるのです。

一回負けたら終わりだと思って死ぬほど悩んでいるとしたら、それは大きな勘違いだということです。

上手くいった人たちは、何度でもバッターボックスに立ってバットを振ったのです。当たるまで振ったのです。一度や二度空振りしても、またボックスに入ります。それだけのことです。そしてこれが、挑戦した人と挑戦しなかった人の、決定的な差になっているのです。

冒頭の方は、一杯やりながら「本当によかった…」と笑顔で話してくれましたが、もっと嬉しい話だったのは、クライアントの社長さんに「それやりましょう!」と新規のビジネス案件の背中押しをしてスタートした…ということです。

経営者とは、人生もビジネスも、勝負に出ている方々です。勝負に出たこともない人がどうやって「やりましょう」と言えるのか? という話です。バッターボックスに立って本気の勝負をしたことがあるからこそ、「やりましょう!」と促し、伴走できるのです。

バッターボックスに立ってバットを振った人間だけが「手にできるモノ」があります。どれだけ分析しても、事例を勉強ても、「いつかやろう」と言い続けていても、手に入らないものがあります。

あなたの人生は、あなた自身のコントロール下にありますか? それとも、10年後の自分の居場所を、誰か他の人間に委ねたまま、今日という一日を終わらせようとしていますか?


著:五藤万晶

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